臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
医務室に入るものの、人がいる気配がない。

ここの主は不在らしい。航平は腕時計を見る。出勤時間まで20分あった。


「まだ来てないみたいだな。そろそろ来るかな?藤野さん、そこのベッドに寝たらいいよ」


麻由子はふらふら~とベッドに行き、横になった。熱がさらに上がった気がしていた。

航平が布団をかけようと手を出す。


ガチャ


「あら、航平じゃないのよ。朝からどうしたの?何かあった?」


医務室の主である美里が現れた。


「おい、会社では名前で呼ぶなといつも言っているだろ」


珍しく不機嫌になる航平はベッドに寝る麻由子を気にして見る。

その航平の視線を追った美里は、寝ている麻由子に気付いた。


「あ、ごめん、ごめん。他に誰もいないと思って…つい。えっと、藤野さんだったわよね?大丈夫?とりあえず熱測ろうか」
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