臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「ちょっと、航平。そろそろ行かないと遅刻するわよ」


美里が時計を見ながら言う。


「やばい、朝礼があるんだった!終わったら、また来るから。藤野さん、ちゃんと寝てなよ」


慌てて医務室を出て行った。


(また航平って呼んだ…)


二人の関係が気になる。

麻由子は航平がいなくなっても、出ていったドアをぼんやり眺めていた。


「はい、これ飲んでね」


美里は薬と水の入ったコップを持ってきた。麻由子は受け取ったけど、すぐに飲まなかった。


「あら、飲まないの?どうしたの?」

「あの…速水さんとは仲が良いのですか?」


薬を飲むよりも聞きたかった。今、一番気になること、知りたいことだ。薬を飲むよりも大事なことだと思った。
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