臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「え?ああ!つい航平って、呼んじゃったよね」


美里はばつの悪そうな顔をする。

そして、気になる答えは…


「私たちはね、姉弟なのよ。航平は私の弟」

「え、姉弟ですか?」

「私は結婚して、名字が変わったけど、ちゃんと血が繋がっているわよ」


美里は来ていたジャケットを脱いでハンガーにかけ、白衣に袖を通す。


「姉弟…ですか?」

もう一度確認するかのように呟く。言われてみれば、似ている。大きくて二重の目はそっくりだった。


「そうよ、安心した?」

「はい。…あ、いえ、あの…」

「フフッ。藤野さんったら分かりやすいわ」


麻由子の恋心に気付いた美里は意味深な笑いをする。


「すいません、少し寝ます…」
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