臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
まだ頭は重いがずっとここに寝ていられない。欠勤すると伝えて帰ろう。


ガチャ


「ごめん!遅くなっちゃって」


慌てた様子の航平が入ってきた。


「え?速水さん?」


千尋は思いがけない人物の登場に驚いて、航平と麻由子を交互に見る。

麻由子もびっくりしていた。


「俺、これから外回りだから送っていくよ」

「え?もう…だ、大丈夫です」


麻由子はベッドから立ち上がって、両手を振って、航平の好意を断る。寝たから少し楽になり、足にも力が入るようになった。頭は変わらず重いが。


「でもね、1人で帰るのは危ないから、送ってもらいなさいよ。道端で倒れたら困るわよ」


美里が言うと、「そうよ、そうよ」と千尋も賛成した。


「ほら、藤野さん。遠慮なんてしなくていいから、一緒に行こう。歩ける?」

「はい、歩けます」
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