臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「え?」

「持っていくよ」


いつの間にか航平も車から降りて、麻由子の隣りに来ていた。重いものを病人に持たせてはいけないという気遣いからだ。


「大丈夫です。もうすぐそこですから」


麻由子は持ってくれているお見舞いの品に手を伸ばす。


「いいから、部屋まで付いていくから。心配なんだよ。途中で倒れるか分からないからね」


航平はそっと背中を押す。

麻由子は仕方なく歩き出す。


コツン…


マンション入り口の段差に躓く。


「おっと!」


航平が素早く麻由子の左腕を掴んで、支えた。


「ほら、まだふらついているじゃないの」


付いてきて良かったとつくづく思った。


「すいま…あ、ありがとうございます」


また謝りそうになったから、急いで言い直す。
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