臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「クスッ、そうそう、謝らなくていいから」


航平に左腕を支えられたまま、部屋の前まで行った。

航平が掴んでいる左腕が熱くなるのを感じる麻由子は恥ずかしさで顔を真っ直ぐ見ることが出来なかった。


「本当にありがとうございました。外回り、頑張ってください」

「うん、ちゃんと休んで早く元気になってね。お大事に」


麻由子は爽やかに去っていく航平の後ろ姿を見送った。

航平の優しさにたくさん触れた日だった。こんな良い日はもう二度と訪れないかもしれない。具合が悪いのは辛いけど、悪くなって良かったかもと不謹慎なことを思った。


「寝よう…」


冷蔵庫に入れるものを入れて、パジャマに着替えて、ベッドに入った。

風邪薬のせいもあり、すぐに深い眠りにつくことが出来た。


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