臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
航平の訪問は思いがけないことだ。ここにいるのが本当に航平なのかの半信半疑になってしまう。持っていた箸テーブルに置いて、ドアを開ける。


「お、顔色良くなってきたね」

「すいません、こんな格好で…」

「クスッ、また謝っている。病人なんだから、パジャマは当たり前でしょ?気にしなくていいよ。俺こそ、こんな時に来て、ごめんね」

「いえ、全然平気です。ありがとうございます」


麻由子は、赤地に白の水玉模様のパジャマにベージュのパーカーを羽織っていた。

こっちのパジャマに着替えておいて良かった…密かにホッとする。ちなみに着替える前に着ていたパジャマは、青地に白い猫柄だった。

麻由子は猫が好きなので、猫柄の雑貨が部屋に多くあった。今立っている玄関マットも猫の絵が描かれている。

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