臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「リンゴ、とても美味しかったです。リンゴ、好きなので嬉しかったです」


リンゴの話も完璧だ。麻由子は心の中でガッツポーズをしていた。

よし、このまま続けよう。


しかし、思惑は微妙にずれていく。

「リンゴ好きなんだね。今度長野に行くことあったら、買ってきてあげるよ」


予想もしない「買ってきてあげる」に麻由子は過剰反応をする。


(え?私のために、わざわざ?)


麻由子のために…とは言ってなかったはずだが、ここは恋する乙女、良いように解釈してしまう。


「ありがとうございます。今度また出張でもあるのですか?」

「来月、静岡に行く予定なんだ。あ、でも、静岡じゃ、みかんになっちゃうな」


航平は楽しそうに笑う。

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