臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「この際だから、言っちゃいなさいよ」


千尋がこの場において、煽る。


「ちょっと…もう、やめて!」


どうすることも出来なくなった麻由子は立ち上がって、トイレへと逃げた。

絶対に気持ちがバレた。
こんなに恥ずかしいことはない。

あの二人は何を言い出したのよ…恨みたい気持ちになった。

トイレの便座に腰掛け、気持ちを落ち着かせようと試みるが全然落ち着かない。


「もう…帰りたい」


1人呟く。


落ち着かないからとずっとトイレにいるわけにはいかない。気持ちの切り替えが出来なかったが、仕方なくトイレを出る。

だけど

さっきまでいたテーブルに足が向かない。航平にどんな顔を見せたらいいか分からなかった。

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