臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
タクシーに乗ってすぐに航平の携帯が鳴る。


「ちょっと、ごめんね」断って、通話ボタンを押す。


「はい。え?今から?……分かったよ」


携帯を切ると、航平はため息をついた。


「すいません、行き先変更してもらえますか?」


運転手に別の行き先を告げる。まっすぐ進むはずだったタクシーは交差点を右へ曲がって、少しUターンする形になる。

向かうところは、10分ほどで着くらしい。


この10分の間、航平がどこに行くのか麻由子に説明した。

向っているとことは姉である美里の家で、妹がそこにいて、連れて帰って欲しいと美里から電話が来たと言う。


「速水さんは、自宅暮らしなんですか?」


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