恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
……というか。
ここは一体何の部屋だろうか。
と部屋の中を見回した花澄の目に飛び込んできたのは……。
「……ビリヤード?」
「たまにはいいだろ? こういうのも」
雪也は奥のテーブルに花澄を誘導すると、壁のキューラックからキューを二本取った。
そしてボールトレイからボールを取り出し、台の上に並べる。
「花澄ちゃん、ビリヤードはやったことある?」
「ううん」
花澄が首を振ると、雪也は少し笑って片方のキューを花澄に渡した。
触れることすら始めてで、どう持てばいいのかもわからない。
と心配そうに見る花澄の前で、雪也はもう一本のキューを手に取った。
「じゃあ、まずは持ち方からね。……キューの重心から10センチくらい後ろのところに右手を置いて、親指と中指でそっと握る」
「……こう?」
「そうそう」