恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



……というか。

ここは一体何の部屋だろうか。

と部屋の中を見回した花澄の目に飛び込んできたのは……。


「……ビリヤード?」

「たまにはいいだろ? こういうのも」


雪也は奥のテーブルに花澄を誘導すると、壁のキューラックからキューを二本取った。

そしてボールトレイからボールを取り出し、台の上に並べる。


「花澄ちゃん、ビリヤードはやったことある?」

「ううん」


花澄が首を振ると、雪也は少し笑って片方のキューを花澄に渡した。

触れることすら始めてで、どう持てばいいのかもわからない。

と心配そうに見る花澄の前で、雪也はもう一本のキューを手に取った。


「じゃあ、まずは持ち方からね。……キューの重心から10センチくらい後ろのところに右手を置いて、親指と中指でそっと握る」

「……こう?」

「そうそう」



< 129 / 476 >

この作品をシェア

pagetop