恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「……手に力入れ過ぎ。もっと力抜いて?」
「……っ……」
「左手はもうちょっと手前。腰はもう少し起こしていいから」
雪也は後ろから、手早く花澄の姿勢を直していく。
ふわりと香る、爽やかなコロンの香り。
そして手や肩に触れる、雪也の大きな手。
花澄は心臓がバクバクするのを感じながら、雪也に言われたとおりの体勢をとった。
「そう、そんな感じ。……じゃあさっそく、撞いてみようか?」
雪也は花澄のキューの先に、ぽんとボールを置いた。
……え。
と思う花澄に、雪也はにこりと笑って言う。
「まずは真っ直ぐ撞けるようにならないとね。真っ直ぐ撞くためには、ボールの中心に当てないとならないんだけど……ま、とにかくやってみようか?」