恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
雪也に言われ、花澄はゴクリと息を飲んだ。
……このまま、キューを前に動かせばいいのだろうか。
花澄は意を決し、ボールを撞いてみた。
ボールはころころと転がり、台のポケットに落ちていく。
「お! 上手いじゃん~」
「……」
……入った。
これはまぐれなのだろうか、それとも……。
多分、雪也が丁寧に教えてくれたお蔭だろう。
花澄はキューを握ったまま体を起こした。
ビリヤードは初めてだが、これなら自分でもできそうだ。
それに、なんだか……楽しい。
花澄は顔を輝かせ、傍らの雪也を見上げた。