恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
4.世界の色が変わった日
19:00。
ビリヤードを終えた二人は、小町通りを駅の方へ向かって歩いていた。
あれから。
花澄は雪也にビリヤードの基礎を一通り教えてもらったあと、ナインボールというゲームに挑戦した。
ビリヤードの中では一番ポピュラーでわかりやすいゲームらしく、30分も経つ頃には雪也より花澄の方が熱中していた。
――――ビリヤードって、楽しいんだ……。
いつも雪也は花澄に知らない世界を見せてくれる。
真っ直ぐで、明るくて、優しくて……花澄のことを気遣ってくれる雪也。
……このままでは本当に好きになってしまいそうで、怖い。
「あー、明日から学校かー。今日が土曜ならいいのになー……」
「そうだね。週休3日制にならないかな~」
花澄は雪也の横を歩きながら、雪也をちらりと盗み見た。
……今日は、一日雪也と過ごすことができた。
ひたすら体を動かしづくめという感じではあったが、楽しかった。