恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「ね、花澄ちゃん。お腹すかない?」
「……え?」
「駅前で食べて帰らない? たまにはいいだろ?」
雪也はにこりと笑って言う。
花澄は驚き、雪也を見上げた。
「え……でも……」
「今日は日曜だから、俺、寮に帰ってもご飯ないんだよね。だから、夕飯付き合ってくれると嬉しいんだけど」
雪也は畳み掛けるように言う。
花澄は目を見開いたまま雪也を見つめていた。
……確かに、寮は土日はご飯は出ない。
戸惑う花澄を雪也はじーっと見つめていたが、やがて、その端正な顔にどこか悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「じゃあさ。そのストラップのお礼ってことで付き合ってよ。あ、お金は俺が出すから気にしないで」
「えっ、そ、そんな……っ」