恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



花澄は慌ててぶんぶんと首を振った。

先週ストラップを貰ったのに、さらに夕飯も奢ってもらうというのは流石に悪い。

高校生で寮に入っている以上、いくら御曹司といえど一か月で使えるお金は決まっているはずだ。


「そんな、ストラップも貰ったのに……。さすがにそれは悪いよ! 夕飯は私が……」

「だーめ。女の子に出させるなんて、ありえないから」

「でも……っ!」


花澄は困惑し雪也を見上げた。

……何と言えばいいのか、わからない。

あたふたする花澄の肩を、雪也は両手でそっと掴んだ。

いつもと違い、どこか強引さを漂わせているその瞳……。


「じゃあさ。夕飯か映画、どっちか付き合ってよ。……俺、観たい映画があるんだよね。『ロードオブザミンク』、確か今週から公開してるハズ」

「……へ?」


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