恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



花澄は思わず間抜けな声を出してしまった。

――――映画?

しかし、『ロードオブザミンク』とは……。

花澄は昨日の昼の情報番組で見た、その映画の概要を思い出した。


『ロードオブザミンク』はミンクが毛皮製品になるまでを描いた本格派ドキュメンタリー映画で、上映時間が3時間30分の超大作だ。

日本での公開が決まった時、ミンクから毛皮を剥ぐシーンが残酷だとPTAや動物愛護団体からクレームがつき、シーンを大幅にカットしたと昨日の情報番組では言っていた。

毛皮も一応、動物繊維という扱いにはなるため、雪也にとっては勉強の意味もあるのだろうが……。


「夕飯か映画。どっちか選んで? どっちもダメってのはナシだよ。さ、どっちがいい?」


雪也は花澄の瞳をじっと覗き込み、言う。

花澄は胸をバクバクさせながら、血が上った頭で必死に考えた。

映画を見に行ってしまうと門限の22時を過ぎてしまう。

いくら相手が雪也だとは言っても、門限を破ったら清美の雷が落ちることは必至だ。


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