恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】




「……じゃあ、夕飯で」


と小さな声で言った花澄に。

雪也はほっとしたように肩を下ろし、目を細めて笑った。

……その嬉しそうな笑顔。

しかし続いた言葉に、花澄は息を飲んだ。


「じゃあ行こうか。……安心して? 門限までには間に合うようにするから」


って……。

考えてみたら、雪也も花澄の家の門限は知っているハズだ。

映画を見たら門限を過ぎてしまうことも。

あんぐりと口を開けた花澄の肩をぽんと叩き、雪也は自嘲するように言う。


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