恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



<side.雪也>



21:00。

二人で一緒に夕食をとり、花澄を北鎌倉駅前のバス停の前まで送った後。

雪也は携帯を片手に寮への道を歩いていた。

携帯には花澄とお揃いのストラップがついている。

……これを美鈴に見られたら、まずいことになるだろうな……。

そう思いつつも、外すことなど考えられない。

雪也はストラップをじっと見つめた。


帰り際、花澄の携帯に環からメールが届いた時。

雪也はとっさに花澄の手を掴んでしまった。

このまま帰したら、花澄は環が用意した夕飯を食べることになる。

それが花澄の日常なのだと、わかっていても……

なぜか、帰したくないと……強く、思った。


< 141 / 476 >

この作品をシェア

pagetop