恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



「まぁでも、たまには必要だよね。女らしさを磨くって意味でもさ」

「そうだね~……」

「相沢君、気付くかな? ……ま、幼馴染って言ってもそこまでは見ないか?」

「……え?」


知奈の言葉に、花澄は目を丸くした。

なぜここで環の話が出てくるのか。

知奈はテーブルに片肘をつき、瞳の奥を光らせ、じーっと花澄を見つめる。

楽しげな、それでいて探るような視線。

……なんとなく、居心地が悪い。

視線を逸らした花澄に、知奈はなぜか小声で言った。


「ね、花澄。……相沢君とはどうなってるの?」

「どうなってる、って……」

「アイツさ、今日も告られてたよ。しかもなんと2人。ま、明日から夏休みだから、あわよくばって感じじゃないのかな」


あわよくば、って……。

しかし2人とはすごい。

さすが環というか、何というか……。

驚く花澄に、知奈は続けて言う。


< 150 / 476 >

この作品をシェア

pagetop