恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



「一人は島田さんだけどね。まだ諦めてないみたい。でもってもう一人は二年の花井さん。例のプリンセスの子よ~」


知奈の言葉に、花澄は思わず息を飲んだ。

プリンセスというのは秋の学園祭の人気投票で、一位になった人に贈られる称号だ。

つまり、学内で一番人気がある女の子ということになる。

ちなみに美鈴は二位だった。

美貌だけで言えば花井さんより上を行くのだが、雪也命ということが学内に知れ渡っているため、あまり票が伸びなかったらしい。

なお、男性の人気投票は行っていないのだが、もし行えば雪也と環が上位争いをすることは確実だ。


「……で、環は? 何て……」

「それがさ、二人ともバッサリ。いやー、鮮やかな袈裟斬りだったわよ。あれじゃ、少なくとも夏休みの間は再起不能ね」


って、どんな断り方をしたんだか……。

花澄は目元を覆い、はぁと息をついた。

はっきり断るのが環なりの優しさなのだと花澄もわかっている。

環は白黒はっきりつける性格で、中途半端なことは一切しない。

しかし……。


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