恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
環に、もし彼女が出来れば……。
その孤独は少なからず癒されるだろう。
環はああ見えて情が深いところがあるので、一度大事にしようと思った人は心から大切にするはずだ。
それが環の孤独を癒すことに繋がるような気がする。
けれど……
それを考えると、なぜか胸の隅にトゲが刺さったように痛む。
なぜなのだろうか……。
考え込んだ花澄の顔を、知奈は背を屈めて覗き込んだ。
「でもさー。……あたしが思うに、アイツが断り続けてんのは、単純に袈裟斬りの腕を上げたいってワケじゃないと思うんだよね」
「イヤ、環はそもそも袈裟斬り自体に興味はないと思うけど……」
「だとしたら、あそこまで断り続ける理由って何なワケ?」
「……」
「だってプリンセスよ? 校内一の美少女が、『アナタの好きにして』ってシナだれかかってくるわけよ?」