恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
知奈の言葉に、花澄は目を見開いた。
……どんな状況だ、それは。
というか知奈は一体何を見たのか。
怪訝そうな目をした花澄の心の内が伝わったのだろうか、知奈は肩をすくめて言った。
「言っとくけどね。これでもまだ控えめな表現よ?」
「……へ?」
「顔は可愛いけど、ありゃ女豹だね。『体だけの関係でもいい』とか、『環先輩になら何されてもいい』とか。とにかくすごかったんだから」
「……」
花澄は絶句した。
……校内一の美少女に迫られている環。
それを想像すると、ドキドキ感とともに得体のしれない感情が胸に広がる。
幼馴染を取られることに対する不安なのか……。
しかしそもそも環が迫られるという状況が信じられない。
目を丸くする花澄に、知奈はコーヒーを一口飲んで言う。