恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「あれ。部長が昨日、出したって言ってたような気がするんだけどな~……」
「生徒会までは来てなかったけど?」
「うーん、後で部長にメールで確かめとくわ」
知奈は首を捻りながら言う。
花澄は少しほっとしながらコーヒーを一口飲んだ。
知奈も同じようにコーヒーを一口飲んだ後、ふと思い出したように目を瞬かせた。
「そういえばねー。昨日、見ちゃったんだよね。月杜君と藤堂さんのツーショット」
「……っ」
突然の言葉に、花澄は思わずカタンとコーヒーカップを置いてしまった。
『藤堂さん』と知奈が言っているのは美鈴のことだ。
内心で息を飲んだ花澄を一瞥し、知奈は続ける。
「あれこそ、まさに美男美女って感じよね。御曹司と老舗の娘。枠に嵌めたようにピッタリよ」
「……」
「ま、嵌まり過ぎててちょっとつまらない感じもするけど。でも藤堂さんて、あんたのイトコとはとても思えないわ。外見も性格も雰囲気も、違いすぎるわ~」