恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
律子は必死な様子で言う。
環は目を見開き、二人の様子を凝視した。
……なんだ、あれは?
やがて男は踵を返し道の向こうへと姿を消した。
律子も逃げるように離れへと入っていく。
――――今のは、一体……。
よくわからないが、只事でないのは確かだ。
『林家』と言っていた気がしたが……。
それが自分や母と何か関係があるのだろうか?
環は怪訝に思いながら、離れの玄関の方へと自転車を引いて歩いていった。