恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
2.私を動かすのは、あなただけ
翌朝。
花澄は重い頭を起こしベッドから降りた。
――――あまり眠れなかった。
雪也のことを考えていたらなかなか寝付けず、眠りに落ちたのは2時過ぎだった。
ゆっくりと鏡台に歩み寄り、自分の顔を見ると……。
寝不足で霞んだ目をした自分自身が映っていた。
髪は寝癖で乱れ、俯せで寝ていたからだろうか、頬にシーツの跡がついている。
……こんな顔、雪也にはとても見せられない。
と思った、その時。
コンコンと扉がノックされ、その向こうから声が聞こえた。
「起きた? 花澄ちゃん?」
「……え?」
慌てて壁に掛けられた時計を見ると。
時計の針は8:00を指していた。
さーっと花澄の顔から血の気が引いていく。
「ごっ、ごめん雪くんっ!」