恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「あちらの奥にテーブルと椅子がございます。そちらでお召し上がりになってください」
「あ、うん」
「後でコーヒーをお持ちします。……では、また後ほど」
環は艶やかな黒髪を揺らして微笑い、優雅な仕草で一礼した。
非のつけようがないほど完璧な、その一連の流れるような動作。
花澄は思わず見惚れたように環を見つめてしまった。
……自分は、どうかしてしまったのだろうか……。
なぜか胸がドキドキする。
花澄は慌てて踵を返し、テーブル席の方へと向かった。