恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
4.猿に金襴緞子
――――15分後。
花澄は環とともに、月杜家のメイドに連れられ『冬』区画の地下にある衣裳部屋へと入った。
メイドは西山さんという40代後半の女性で、二人を案内した後、一礼して言った。
「それでは、私は上に居りますので、衣装が決まりましたらお声をお掛け下さいませ」
「はい、わかりました」
パタン、という音とともに階段に続くドアが閉じた後。
はぁぁぁ、と花澄は肩を下ろした。
……あの後。
環に事情を説明したら、環はすぐにここから最も近い衣装屋を調べてくれた。
が、最も近い衣装屋でも車で30分ほどかかるとわかり、環は月杜家の執事に借りられる衣装がないか打診した。
幸い、別荘の地下に衣裳部屋があると聞き、まずは見てみようということになったのだが……。
『衣装と申しましても、現会長であられる真治様のお母堂様が生前に使ってらっしゃったものが殆どですので、花澄さまに合うものがあるかどうか……』
『雪也さまから、衣裳部屋にあるものは好きに使って頂いて良いとお許しを得ております。どうぞ、ごゆっくりご覧くださいませ』