恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
月杜家の執事は恭しい表情で言い、鍵を渡してくれた。
……どうやら半世紀近く前の衣装がほとんどらしい。
見てみないと何とも言えないが、普段着でパーティに出るよりはマシだろう。
と思い衣裳部屋に入った花澄だったが。
「……」
目の前に広がるきらびやかな光景に、思わず息を飲んだ。
金のビロード素材でできたドレスや毛皮のワンピース、派手派手しい打掛など、見ているだけでクラクラしそうな衣装がずらっと並んでいる。
どうやら雪也の曾祖母はかなり派手好きだったらしい。
「なんか……すごいね……」
「……」
隣に立った環も、眉根を寄せて部屋の中を見回している。
しかしその表情はいつになく険しい。
環は腕を組み、衣装を睨むように見つめながら口を開いた。