恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「この中に、お嬢様に似合うものが果たしてあるかどうか……」
「……環……」
「猿にも衣装とは言いますが……。猿に金襴緞子を着せたところで、衣装が美しい分、猿のバカさ加減が更に強調されるのが関の山でしょう」
「ちょっとアンタ、神妙そうに言いながらさりげなくバカにしてんじゃないわよ……」
……と憤りつつも、環の言いたいことはなんとなくわかる。
ここに並んでいる服は、どれを着ても……恐らく、似合わない。
そもそも着方すらわからない服もある。
環は悄然とする花澄をちらりと見、ひとつ息をついた。
「……お嬢様」
「なに?」
「今から私が、ここにある衣裳や小物の中で、お嬢様に似合いそうなものをいくつか見繕ってみます。服というより、パーツを選ぶ感じになるかもしれませんが」
「環……」
「お嬢様は一足先にお部屋にお戻りください。私もすぐに向かいますので」