恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
口を尖らせ、花澄は呟いた。
……でも、少し緊張が和らいだ気がする。
少し頬を緩めた花澄を、環はじっと見つめる。
どこか切なげな、その瞳……。
「自信をお持ちください、お嬢様。……この私が、手ずから整えたのですから」
「……うん……」
「さ、行きましょう。会場までは、私も一緒に行きます」
環はエスコートするように、そっと花澄の手を取った。
……大きく力強い、その手。
環の体から香る、甘く濃密な花の香り。
花澄はなぜか胸の奥がキュっと痛むのを感じた。