恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「……驚いた。すごく綺麗だよ」
「……雪くん……」
「あの衣裳部屋にあるものをって言ってたから、ちょっと心配ではあったんだけど。どうやら杞憂だったみたいだね?」
雪也は優しく微笑い、花澄を見る。
花澄はドキドキしながら雪也を見つめていた。
……お互いいつもと違う格好をしているせいか、なんだか照れる。
と、そのとき。
部屋の奥の方から優雅で明るい音色が流れてきた。
どうやらダンスが始まるらしい。
見ると、周りでペアになっている人達が部屋の中央の方へと集まり始めている。
きょろきょろと辺りを見回していた花澄だったが……。
「……花澄ちゃん」
見ると。
雪也が自分の方へと手を差し出している。
花澄は驚き、目を見開いた。
「雪くん……」
「一曲お相手願えますか、お嬢様?」