恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
6.Shall we dance?
曲のテンポが、しだいにゆっくりになっていく。
花澄は上気した顔で雪也を見上げていた。
――――もう、ダンスが終わる。
夢のような時間も、これで、終わり……。
やがて曲が終わり、二人は足を止め、向かい合った。
形式通りに少し離れ、お互い礼をする。
……終わってしまった……。
と思った花澄だったが。
「……あ、次はジルバだね」
雪也がにこりと花澄に笑いかける。
その顔はうっすらと上気しているが、あれだけ動いたのにほとんど息は乱れていない。
「花澄ちゃん、ジルバも得意だったよね?」
「得意っていうか、その……」
「いいだろ? あと一曲。ジルバなら、俺も……」
と雪也が言いかけた、その時。