恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
知奈の言葉に、花澄は首を振った。
環は日々執事の仕事で忙しいため、迷惑をかけたくはない。
それに相談しても『気のせいだろう』で一笑に付されそうだ。
あとは相談できるとしたら雪也だが……。
雪也に相談したら、多分、親身になって相談に乗ってくれるだろう。
けれど……。
「とにかく、気をつけなよ? 何だかんだ言っても、あんたも女なんだから。危険な目に遭いそうになったらすぐに逃げること!」
「ん、ありがと、知奈」
花澄は少し笑い、頷いた。
……まさか、この数日後に危機が訪れるとは、この時の花澄は予想だにしていなかった。