恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「ふ……ぐっ……!!?」
何者かに後ろから突然羽交い絞めにされ、花澄は息を飲んだ。
口元を覆った大きな手、そして腰に巻きつけられた太い腕――――。
花澄と同じブレザーを着ているところを見ると、同じ学校の男子生徒のようだ。
しかし花澄にはそんなことを気にしている余裕はない。
花澄は男の腕から逃げ出そうと必死にもがいた。
しかし男の拘束は弱まる気配はなく、しだいに強さを増していく。
「……はっ、放し……っ」
男はそのまま、廊下の脇にあった男子トイレへと花澄を引きずり込もうとする。
……男の狙いが何なのかわからないが、引きずり込まれたらとんでもないことになる。
しかし男の拘束は強く、腕を外すことはできない。
花澄はとっさに男子トイレの壁や扉を手当たり次第に手や足で蹴った。
とりあえず物音を出せば、誰かが気付いてくれるかもしれない。
と男の腕の中で暴れていた花澄だったが。
「……っ!!」