恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「とにかく、そういうわけだから。そのつもりでいて頂戴ね」
「……」
美鈴は言い、再び歩き出した。
花澄はその背を見つめながら、ポケットから携帯を取り出した。
雪也から貰ったストラップをじっと見つめる。
小さなぬいぐるみがついた、想い出のストラップ……。
「雪くん……」
あの事件があってから、雪也は毎日、花澄の登下校に付き合ってくれている。
放課後も極力、花澄と一緒に行動しようとしてくれている。
その優しさが嬉しい反面、……辛い。
好きになってもどうしようもないのに、どんどん好きになっていく……。
――――外堀は容赦なく埋められていく。
花澄は肩を落とし、深いため息をついた……。