恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「一票は……だとして、もう一票はたぶんあいつだろうな。でももう一人は、いったい誰だ?」
「……?」
「まさか……あの時の……」
雪也の顔はしだいに強張っていく。
花澄はその横顔を驚きとともに見つめていた。
3票入ったことは自分にとっては嬉しいことなのだが……
と思ったのがばれたのだろうか、雪也は慌てた様子で再び笑みを浮かべた。
「ごめん、なんでもないよ。良かったね、花澄ちゃん?」
「あ、……う、うん……」
「さてと、急いで片付けよっか? もう9時だしね~」
雪也は投票用紙を手早くまとめ、持ち上げた。
そのまま部屋の隅にある棚の方へと持っていく。
花澄も立ち上がり、机に積まれた書類の整理を始めた。