恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
5.最後の想い出
21:30。
花澄は雪也とともに校門の近くにある駐輪所へと向かっていた。
既に辺りは真っ暗で、点いているのは校門の灯りぐらいだ。
花澄は隣を歩く雪也を振り仰いだ。
「雪くん。今日は遅いし、いいよ。自転車で帰れば……」
「何言ってんの。遅い日だからこそ猶更送るべきだろ?」
「でも……」
「ダメ。さ、行くよ?」
雪也は問答無用で駐輪場へと歩いていく。
雪也は優しいが、こういうときはかなり頑固だ。
でも……ちょっと嬉しい。
花澄は頬を染め、雪也に続いて歩いていった。