恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



雪也の言葉に花澄は目を丸くした。

……ということは、つまり……。

驚く花澄を、雪也はじっと見つめる。


「俺と君と美鈴は、婚約者同士だしね。同じ高校にいるなら、お互いを知る機会は多い方がいい。だろ?」

「う、うん……」

「ま、それは建前で……実際は……」


雪也はそこで言葉を濁した。

目を伏せ、手を止める。

……建前?

と首を傾げた花澄の横で、雪也は自嘲するように笑った。


「……少しでもいい。時間が欲しかった」

「……雪くん?」

「婚約していても、不安だった。いつでも君の傍には、あいつが……」



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