恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
雪也は掠れた声で呟くように言う。
花澄は何も言わずに雪也の言葉を聞いていた。
……不安?
じっと見つめる花澄に、雪也は気分を変えるように笑った。
そのまま花澄の手元に手を伸ばし、チョコパフェの封を手早く開ける。
「さ、食べよう?」
「う、うん」
花澄は差し出されたプラのスプーンを手に取り、パフェを掬った。
そのままスプーンを口へと運ぶ。
生チョコだろうか、カカオの濃厚な香りと上品な甘さが口いっぱいに広がっていく。
「美味しい!」
「秋の新作って出てたやつを買ってみたんだけど。口に合ったようでよかったよ」
雪也は嬉しそうににこりと笑う。
花澄はドキッとし、照れを隠すように慌ててスプーンを口へと運んだ。
隣で、雪也もマロンのパフェを開けてスプーンの封を切った。
そのまま優雅な仕草で足を組み、パフェを掬って食べ始める。
例えコンビニのスイーツでも雪也が食べると様になる。
と思ってしまうのは、やはり自分が雪也に惹かれているせいだろうか……。