恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】



花澄はコーヒーを一口飲み、一息ついた後、再びスプーンを動かし始めた。

疲れているせいか甘いものがやたら美味しく感じる。

……まずい、止まらない。

と思った時。

花澄の口元にすっと雪也のスプーンが差し出された。

スプーンの先には栗とマロンクリームが載っている。


「はい、味見」


花澄は反射的に口を開けた。

雪也は目を細めて嬉しそうに笑い、すかさずスプーンを花澄の口に入れる。

ぱくりと食べると、栗の風味が口に広がった。

……美味しい。

と顔に出たのが分かったのだろうか、雪也は二口目、三口目と花澄の口にスプーンを運ぶ。

と、そこで花澄はこれが間接キスであることに気付き、思わず息を飲んだ。


「……っ……」

「……? どしたの、花澄ちゃん?」

「うっ、ううん……」


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