恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
花澄は驚き、環を見上げた。
環はいつもと同じ、能面のような何の感情も伺わせない顔で花澄を見つめている。
しかし、その瞳に宿る光は、昏く鋭い。
息を飲んだ花澄に、環は言う。
「あいつと一緒にいたのか?」
――――押し殺した、低い声。
花澄を責めるようなその声。
花澄はなぜか、胸の中にムカムカしたものが広がるのを感じた。
……今日、中庭で女の子達に囲まれていた環。
自分には冷たいのに、女の子達には普通に接していた環。
しかもここ数週間、環は自分を避けていた。
なのにどうしてこんな風に言われなければならないのか。
「……環には関係ないでしょ」