恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「ううん、いい……」
「……花澄?」
「わかったから。……もう十分、わかったから……」
花澄は項垂れ、俯いた。
……その後が言葉にならない。
環はしばらく無言で花澄を見つめた後、ひとつ息をついた。
もう一度花澄の顔を覗き込み、言う。
「花澄」
「……」
「おれは、返事が聞きたい」
環の言葉に、花澄ははっと顔を上げた。
「返事って……」
「返事だ。おれの気持ちに対する、お前の返事を聞きたい」
環は真剣な目で花澄を見つめている。
花澄は目を見開いた。
環は白黒はっきりつける性格だ。
――――逃がしては、くれない。