恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
六章
1.お嬢様の困惑
4日後の放課後。
花澄は教室の自席で頬杖をつき、ぼーっと窓の外の景色を見つめていた。
「……ちょっと、花澄」
「……」
「花澄、聞いてる!?」
隣に座った知奈がバン! と花澄の机を叩く。
花澄はぼんやりと知奈を見た。
「あー……なに? 知奈」
「なにって……。あんた、この頃いつも上の空だよ? 何かあったの?」
「……ごめん。なんでもないから」
「なんでもないって顔じゃないっしょ!? あんた、明らかにヘンだよっ」
明らかにヘン……。
確かにそうかもしれない……。
でも何がヘンなのか、自分がヘンなのか、周りがヘンなのか、それすらもよくわからない。
――――重症だ。