恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
「今日の放課後だけど、ちょっと職員室に呼ばれてて。出るの15:30頃になるけど、いい?」
雪也は文化祭の後も、例の男を警戒して花澄の登下校に付き添ってくれている。
……やはり、雪也は優しい。
雪也の瞳を見つめているとほわりと心が温かくなっていく。
環に感じるのとは違う、純粋なときめき。
雪也が自分の初恋の人であることは、もう疑いようがない。
……なのに、どうして……。
あの榛色の瞳が、脳裏から離れないのだろう……。
ひょっとして自分は多情なのだろうか。
それとも衝撃で、心のどこかがおかしくなってしまったのだろうか。
考えれば考えるほど深みに嵌まる。