恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
『うーん、美味しい!』
……ベンチに並んで座った後。
久しぶりのストロベリー味に、花澄は上機嫌でアイスを口に放り込んだ。
三口ほど放り込んだ後、
『環も食べなよ?』
と、スプーンを差し出すと。
その手を環はそっと掴んだ。
はっと顔を上げた花澄の目に映ったのは、誘うような色を帯びた、環の榛色の瞳。
『……おれは、こっちで味見するからいい』
という言葉とともに、強引に唇を奪われた。
……体の芯から蕩けるような、甘い口づけ。
環も花澄と同じく、誰かと付き合うのは初めてのはずなのに、どうしてこんなキスができるのだろう……。
口づけの後、その疑問を環にぶつけたら、環からは意外な返事が返ってきた。
『それはおれが聞きたい。……お前、本当に初めてなのか?』
『え……っ』
『お前とキスしていると、おれは何も考えられなくなる。強烈な甘い媚薬に、頭を溶かされていくような気分になる……』