恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
幼い頃から一緒に育ってきた自分たちは、多分恋愛でも同じように、歩調を合わせて一歩、また一歩と歩いていくのだろう。
ときめきつつも、安心感を覚える――――それはきっと、相手が環だからだ。
花澄はカップアイスを手に、自室に戻るべくリビングを抜けようとした。
そのとき。
「あ、環」
これから風呂に入るのだろうか、環が廊下を歩いてくる。
環は花澄の姿に気付くと、一瞬、目を見開いた。
しかしすぐさまその視線を逸らす。
ん? と思いながら花澄は環に歩み寄った。
「これからお風呂?」
「……ああ」
「アイス、環も食べる? 食べるなら半分、残しておくけど」
環は視線を床に向けたまま、軽く首を振った。
「いや、いい」
「そう? じゃあ私、貰っちゃうよ?」
「ああ」