恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
七章
1.将来の悩み
12月上旬。
土曜。
花澄は模試の後、図書室で模試の問題の復習をしていた。
「……」
年が明ければ受験が始まるのに勉強に集中できない。
花澄はシャープペンを置き、項垂れた。
環との恋愛は、先が見えない……。
けれどどんどん、引き込まれていく。
キスを重ねるごとに想いは深まり、そして……
「……っ……」
自分に向けられる環の視線も、以前とは雰囲気が変わってきた。
……自分が欲しい、と告げているその瞳。
家族の前ではそういう感情は微塵も見せないが、二人きりになった時、向けられる瞳の熱さに、絡め取るような情熱に、心を奪われそうになる。
先が見えない、未来はない……
そう分かっていても、あの瞳を向けられると心が震える。
あの激しさに囚われて、深淵を覗きこんだら……多分、戻れなくなる……。