恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
環とは、この先どうするかまだ話し合ったわけではない。
けれど先日、環は海外の招待留学に申し込んだと言っていた。
それを聞いた時、花澄は衝撃とともに心の隅で何かを理解していた。
環は昔から海外に出ることを希望していた。
やはり、環も二人の関係は高校までだと思っているのだろうか……。
終わりを思うと、胸が引き裂かれそうに痛む。
……環と、離れたくない。
けれど環の将来を考えれば、自分が我儘を言うわけにはいかない。
それに、自分も家族のために――――いずれ、別の人に嫁ぐことになるのだ。
この恋にはあまり深入りしない方がいい。
これ以上近付いたら、関係に溺れてしまったら――――別離の時、自分は気が狂ってしまうかもしれない。
環は、将来のことをどう思っているのだろうか……。
自分が悩んでいることに、気付いているのだろうか……。
こんなに苦しんでいるのは、自分だけなのだろうか……。
想いは胸にあふれ、止めようと思っても、止まらない――――。
花澄は唇を噛みしめ、再びシャープペンシルを手に取った。