恋獄 ~ 囚われの花 ~【完】
一日でも早く花澄に釣り合う自分になり、花澄とともに生きていきたい。
大学にいる間は離れることになるかもしれないが、大学を出て生活の目途がついたら、すぐに花澄と結婚したい。
まだ、今の時点ではそのことを花澄に言うことはできないが……。
環は机の上に置いてあった書類を手に取った。
書類には香港大学の国費招待留学の書類審査の結果と、二次審査の案内が記載されている。二次審査は東京で、1月下旬に行われる。
二次審査に通れば留学が決定するが、それまでは花澄に何も言うことはできない。
まだ進路が決まっていない状態で花澄と将来の約束を交わすわけにはいかないからだ。
……そんな無責任なことはできない。
しかし進路が決定したら、すぐに花澄と将来について話し合いたい。
環は書類を眺め、軽く息をついた。
花澄から聞いたところによると、高校を出たら美鈴が雪也の正式な婚約者となり、花澄の婚約は破棄されるらしい。
そうなれば、いくら雪也が花澄に想いを寄せていても、二人は婚約者という間柄ではなくなる。
花澄は晴れて自由の身となり、自分と結婚するのに支障はなくなる。
……しかし。